20161123防衛・自衛隊関連ニュース

 10年前。イラクから陸上自衛隊が撤退し、まだ防衛庁だったころ、自衛隊がここまで活動できるようになると予想していた人はどれだけいたでしょうか。駆けつけ警護が可能となった陸自部隊が南スーダンに到着しました。

 ここ最近の防衛関連ニュースをピックアップしていきます。

www3.nhk.or.jp

 駆けつけ警護と言って騒がれていますが、展開している地域において文民保護が可能となるというのはごく自然なことと言えます。派遣自体の賛否はともあれ派遣地域において、現地の邦人や国連職員を見殺しにする事態は悲惨です。しかし、原則として正当防衛と緊急避難に限定された武器使用は非常に高度な判断を強いられます。派遣部隊の安全は可能な限り十分に確保されているとは言えないでしょう。

 

www.mbs.jp

www.asahi.com

 韓国とのGSOMIAは今後非常に有益なものとなると考えられます。政権が危機的な状況の中、ようやく締結ができました。北朝鮮情報を主に韓国からは得やすくなるでしょうか。

海賊対処護衛艦1隻体制に縮小と北朝鮮の脅威

 10月末の報道ですが、まずはご覧ください。

www.nikkei.com

www.sankei.com

 海上自衛隊の派遣海賊対処行動水上部隊の護衛艦が1隻体制になります。

 海賊発生の推移についてはこちらをご覧ください。

bylines.news.yahoo.co.jp

 昨年には発生件数がすでに0件となっています。すしざんまい社長が海賊を撲滅したという話もありますが、とにかく護衛のニーズはほぼ無くなっていました。

 今回の縮小について、日本周辺海域の警戒に当たるとの報道がありますが、縮小の契機となったのは今年の北朝鮮のミサイル発射と思われます。防衛省の資料を見てみましょう。

http://www.mod.go.jp/j/approach/surround/pdf/dprk_bm_20160909.pdf

f:id:toaosi:20161112172312j:plain

 今年に入ってこれだけの発射を確認しています。日本が注目すべきはノドンミサイルです。そして、8月3日のノドンとみられるミサイルの発射に日本は震えました。

mainichi.jp

 そして、弾頭部分が初めて日本のEEZ内に着水したとみられています。

jp.reuters.com

 この事案で防衛省は苦しい立場におかれました。ミサイルを探知できなかったためです。探知できなかったということは、迎撃などできるわけもなく、もし日本が狙われていたら着弾していた可能性があります。これを受けて政府は常時破壊措置命令を出すという決定を下しました。

www.sankei.com 従来は北朝鮮の事前通告などで情報が得られた場合にのみ発令していたものですが、これによって常時イージス搭載護衛艦による警戒を実施すると思われます。そして、11月に入ってまた延長されました。

www.yomiuri.co.jp

 イージス搭載護衛艦がミサイル警戒に常時当たることで他任務は他艦艇で補うという体制になりそうです。これによって1隻体制になったのでしょうか。

 現在南スーダンへ派遣している部隊に新任務の付与が話題となっていますが、自国の防衛は第一に考えなければなりません。北朝鮮は重大な脅威ですが、それ以外の対応にも人員と装備を割かなければなりません。警戒監視を効果的に実施するための方策も検討していく必要があります。平時にフル稼働して余裕が無いようでは有事には対応できません。

 

南スーダンで自衛隊員が殉職する日

mainichi.jp

 新任務付与が決定し、国内で関連訓練をするなど準備が進んでいる南スーダン派遣施設隊です。イラク派遣では原因不明の隊員の死亡が複数件ありましたが、南スーダンで殉職者がでることになってしまうのでしょうか。装備、法制面で最大限部隊の安全が保障されていると、防衛相は自信を持っていうことができるのでしょうか。殉職者が出てからでは遅いですが、それから本腰を入れて対策を考え、予算がついていくというのが実情ではないでしょうか。

 PKOで海外に展開することについて全てに反対するものではありませんが、付与された任務の中で最大限の努力をすることが防衛省の役割であると考えます。

 

今日の自衛隊関連ニュース20150113

 ここ最近で気になるニュースを貼っていきます。

 

news.livedoor.com

 体質改善は現状では全く期待できないと考えています。

それは業務、人事に重大な問題があるからです。再発防止の徹底など絶対にできないと断言します。

 

www.yomiuri.co.jp

 

 現在行っている海賊対処任務では、P-3Cはジブチまで無給油では到達できないので、経由地を持っています。帰りのルートを一部変更してついでに南シナ海のプレゼンスを示そうというものですね。水上部隊も途中経由地がありますが、帰りに何か起きたりして対応にあたることはありますね。

 

www.tokyo-np.co.jp

 

 海上警備行動は現在実施できるもっともふさわしい手段であると考えます。しかし、海上警備行動でも対応できない事態は今後予想できます。海自は手段としては有効ですが、海上保安庁を増強することが当該海域では効果的であると思います。通常監視は海上保安庁の比率をさらに上げるべきでしょう。

 

www.tokyo-np.co.jp

 

 今後間違いなくさらなる基地強化が図られるでしょう。というより、実際その方向で動いていることは以前の報道でも明らかです。任務を増やして業務は減らない。組織としてこのままの体制で何とかやっていけるのかが心配なところです。

 

www.sankei.com

 

 慰安婦問題に関して日韓合意がなされたのは周知の事実でありますが、今は軍事的にみて連携をとっていくほか手段はないと思います。極端な話、カネで解決できる問題は早く片づけ、連携をどんどんとっていくべきです。結果的に負担の軽減につながります。これだけ密接した地域である東アジアにおいてお互いが反目し合うのは何一つ利益はありません。お互い協力できる部分は素直に協力し、目先の利益にとらわれない戦略的な関係を構築すべきです。このような部隊レベルでの連携は今後の日韓関係のためにも重要です。

2015年も終わり。

 ふと気づけば大晦日。というのは嘘ですね。忙しい一年でした。皆さんはいかがでしょうか。年末にふと感じたことをここに記して今年を締めくくりたいと思います。

 
 年の瀬だというのにバスの炎上や山岳遭難、中国の情報収集艦の房総沖への進出。実はニュースに事欠かなかったわけですね。こういうニュースを見ていると、思うんです。あ、これに対応している人は休暇なんてないんだなあ、と。普通の人たちがクリスマスやら年末年始休暇やらで浮かれている時にも実は誰かが危機管理に当たっています。平生でもそれは当たり前のことですが、特に世間が浮かれている時こそコトは起こります。そういう時に対応に当たっている人達のことを皆さんは考えたことがあるでしょうか。彼らだけではありません。彼らの家族も一緒に年末年始を過ごせないという思いをきっとしていることでしょう。
 
 切れ目のない危機管理そして国家防衛は彼らの双肩にかかっています。そういった人々がいるからこそ、国民は平和を享受できるということがあらためて認識できると思います。そして、そういった彼らはむしろ有事など望んでいないということもわかるでしょう。自らを犠牲にして対応に当たっているわけですから。一番の国家の安定と平和を願っているのは、間違いなく彼らだと思います。ただ集まって騒いでいる小童とは説得力が違いますね。
 
 それでは皆さん良いお年を。